第2話冒頭部分UP
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第1話→http://fuusya.blog18.fc2.com/blog-entry-285.html
ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で
第2話
1
2002年、元旦。東京都中野区にも朝もやが立ちこめていた。
元旦らしく、俺とみいは初詣にきていた。風が冷たい。東京、浅草の浅草寺(せんそうじ)。みいと初詣にでるようになったのは去年からだ。あの豪邸にひとりきりではみいがかわいそう、という俺の配慮からなのである。
「うわ、浅草寺すげー混んでる」
浅草寺に向かうまでの仲見世通り(なかみせどおり)を群衆が隙間無く埋めている。
「晴れ着いいなあ。あたしも着てみたい」
普段着に厚手のコートを羽織ったみいが、羨ましそうに周囲に眼をやる。
「きゃー、流されちゃうよお」
みいはそう言って俺の左腕にしがみついてきた。左側を見ると、ちょうどみいのつむじが見える。頭ひとつ分くらいみいは背が低い。俺はそんなに背の高いほうではないけれど、高校に入ってからも順調に2cmほど伸びたので、今は身長172cmだ。それに比べて、みいは小学生の頃に背が伸びたっきり、まったく伸びていない。148cmといったところか。
「あー人混みに押しつぶされそう。勇介を盾にして境内までくっついていくしかないわね。頑張ってー」
みいは、さらに左腕に密着してきた。そうなると必然的にみいの胸が俺の左腕に当たる。
これは、もしやおいしいシチュなのでは・・・・・ここぞとばかりに左腕に全神経を集中させる。マッシュルームのようなフワフワした感触が左腕に伝わってくるはず・・・・・・
・・・・・・ってあれ?スカスカするぞ。厚手のコートの下はスカスカで、まるで手応えがない。どうやらただのぺったんこのようだ。
「もー、なんなのこの混み方。全然見えないよ」
身長148cmのみいは人混みに完全に埋まっていた。前すら見えていないようで、どのへんを歩いているのかも分かっていないようだ。俺の左腕にしがみついたまま、完全に頼り切っている。
お賽銭箱の前に辿りつくまで、みいの胸に左腕は密着し続けていたが、一向に手応えはなかった。ひじにはそれらしき手応えはまったく伝わってこなかった。明らかにぺったんだった。みいは身長だけでなく胸のほうも成長していないようだ。こんだけぺったんこだと、間違いなくAカップだろう。身長148cmでAカップとなると、バストは72〜3ってとこか。
この人混みの中、みいのぺったんこな胸の考察で俺の頭のなかは一杯だった。
「はー。すごい人だったわね。お賽銭も入れたし、お目当てのあんみつ屋まで辿り着いて、ようやく一息つけるわね」
あんみつ屋の席について食券を机に出しておいたら、5分とかからずににあんみつは出された。人混みで疲れていたので、糖分の補給には最適。甘くておいしい。スイーツ(笑)とか言ってる場合ではない。
「ほんと、凄い人混みだったね。ぺったんこになりそう・・・・・・」
ぺったんこ、と思わず口にしてしまい、一瞬焦る。ぺったんぺったんと、みいの胸について検証していたのが実はバレていたのではないか。みいは明らかに怪訝(けげん)な顔をしている。俺はあわてて話題を振った。
「そういえば、神様に何お願いした?」
「んーとね、今年は新しく家族が出来ますようにってお祈りしたよ」
「新しい家族?ああ、あの豪邸に親戚とかが引っ越してくるようにってこと?おじいさんやおばあちゃんが越してくるとか」
「違うわよー。結婚すれば家族が増えるじゃない」
え?結婚?
「わたしも今年で18になるんだから、別におかしくないでしょ」
あまりにも突飛な話に、俺はあんみつを吹きそうになった。
「いや、高校3年生で結婚というのはかなり無理があるのではないかと・・・・・・そもそも相手あっての話ですし」
「相手なんて探せばすぐよ。別に勇介でもいいし」
「・・・って俺かよ!単なる幼なじみのお隣さんじゃなかったのか!こいつはびっくりだ!」
俺の驚きとは裏腹に、みいはニコニコしながら続けた。
「家もあるんだから、中野区役所に婚姻届出せば、すぐにでも結婚生活が始められるわよ」
凄いぜ!さすがみいさんだ!発想が自由すぎる!代々木公園の横でやってる自転車の大サーカスのように、自由でリスキーな人生設計だぜ!女の子のほうがはやく大人になるっていうけど、こういうことなのか。胸はまだぺったんこなのに。
だがしかし、俺にはそんな覚悟は、このあんみつに入ってる寒天の欠片ほどにも持ち合わせてはいない。なので、俺はまたまた話を逸らした。
「とりあえずその話は置いておいて、俺は何をお願いしたかというと、聖修大への推薦が決まりますようにってお祈りしといた。」
「内部進学狙ってるの?」
「うんうん、聖修の芸術学部にメディア芸術学科ってのが最近できたじゃん。あれ狙ってて、聖修大付属高校受けたんだ。芸術学部の推薦枠って少ないから競争率高いし。内部の推薦で行ければかなり楽だからね」
「メディア芸術学科って何するとこなの?」
「んー、なんかデッサンやったり、3DでCG作ったり、プログラム組んだりするみたい。俺はやっぱゲーム好きだから、将来はゲーム会社に就職できたらなと思ってて」
なにそのオタ臭い学科、と思われるかと思ったが、みいは予想外にしんみりとして、深刻な面持ちで、
「・・・・・・勇介、ちゃんと将来のこと考えてるんだ。わたしはどうするか考えてないなあ。大学もどうするか悩んでる」
みいは深く考え込んでしまったようだ。
「これはますます勇介と結婚するしかないわね」
・・・・・・冗談なのか本気なのか分からないみいの結婚願望トークを、この後も延々と聞かされるのだった。
というわけで、とりあえずここまで書けました。
続きは第2話としてまとめて同人誌にする予定です。
予定では4/20のサンクリ。↑までで原稿用紙7枚分だけど、第2話は全部で30枚くらいかな、たぶん。
新キャラのオンパレードとなります。
↓サイト版はコレ。同人誌では8まであります。
ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で 第1話
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ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で
第2話
1
2002年、元旦。東京都中野区にも朝もやが立ちこめていた。
元旦らしく、俺とみいは初詣にきていた。風が冷たい。東京、浅草の浅草寺(せんそうじ)。みいと初詣にでるようになったのは去年からだ。あの豪邸にひとりきりではみいがかわいそう、という俺の配慮からなのである。
「うわ、浅草寺すげー混んでる」
浅草寺に向かうまでの仲見世通り(なかみせどおり)を群衆が隙間無く埋めている。
「晴れ着いいなあ。あたしも着てみたい」
普段着に厚手のコートを羽織ったみいが、羨ましそうに周囲に眼をやる。
「きゃー、流されちゃうよお」
みいはそう言って俺の左腕にしがみついてきた。左側を見ると、ちょうどみいのつむじが見える。頭ひとつ分くらいみいは背が低い。俺はそんなに背の高いほうではないけれど、高校に入ってからも順調に2cmほど伸びたので、今は身長172cmだ。それに比べて、みいは小学生の頃に背が伸びたっきり、まったく伸びていない。148cmといったところか。
「あー人混みに押しつぶされそう。勇介を盾にして境内までくっついていくしかないわね。頑張ってー」
みいは、さらに左腕に密着してきた。そうなると必然的にみいの胸が俺の左腕に当たる。
これは、もしやおいしいシチュなのでは・・・・・ここぞとばかりに左腕に全神経を集中させる。マッシュルームのようなフワフワした感触が左腕に伝わってくるはず・・・・・・
・・・・・・ってあれ?スカスカするぞ。厚手のコートの下はスカスカで、まるで手応えがない。どうやらただのぺったんこのようだ。
「もー、なんなのこの混み方。全然見えないよ」
身長148cmのみいは人混みに完全に埋まっていた。前すら見えていないようで、どのへんを歩いているのかも分かっていないようだ。俺の左腕にしがみついたまま、完全に頼り切っている。
お賽銭箱の前に辿りつくまで、みいの胸に左腕は密着し続けていたが、一向に手応えはなかった。ひじにはそれらしき手応えはまったく伝わってこなかった。明らかにぺったんだった。みいは身長だけでなく胸のほうも成長していないようだ。こんだけぺったんこだと、間違いなくAカップだろう。身長148cmでAカップとなると、バストは72〜3ってとこか。
この人混みの中、みいのぺったんこな胸の考察で俺の頭のなかは一杯だった。
「はー。すごい人だったわね。お賽銭も入れたし、お目当てのあんみつ屋まで辿り着いて、ようやく一息つけるわね」
あんみつ屋の席について食券を机に出しておいたら、5分とかからずににあんみつは出された。人混みで疲れていたので、糖分の補給には最適。甘くておいしい。スイーツ(笑)とか言ってる場合ではない。
「ほんと、凄い人混みだったね。ぺったんこになりそう・・・・・・」
ぺったんこ、と思わず口にしてしまい、一瞬焦る。ぺったんぺったんと、みいの胸について検証していたのが実はバレていたのではないか。みいは明らかに怪訝(けげん)な顔をしている。俺はあわてて話題を振った。
「そういえば、神様に何お願いした?」
「んーとね、今年は新しく家族が出来ますようにってお祈りしたよ」
「新しい家族?ああ、あの豪邸に親戚とかが引っ越してくるようにってこと?おじいさんやおばあちゃんが越してくるとか」
「違うわよー。結婚すれば家族が増えるじゃない」
え?結婚?
「わたしも今年で18になるんだから、別におかしくないでしょ」
あまりにも突飛な話に、俺はあんみつを吹きそうになった。
「いや、高校3年生で結婚というのはかなり無理があるのではないかと・・・・・・そもそも相手あっての話ですし」
「相手なんて探せばすぐよ。別に勇介でもいいし」
「・・・って俺かよ!単なる幼なじみのお隣さんじゃなかったのか!こいつはびっくりだ!」
俺の驚きとは裏腹に、みいはニコニコしながら続けた。
「家もあるんだから、中野区役所に婚姻届出せば、すぐにでも結婚生活が始められるわよ」
凄いぜ!さすがみいさんだ!発想が自由すぎる!代々木公園の横でやってる自転車の大サーカスのように、自由でリスキーな人生設計だぜ!女の子のほうがはやく大人になるっていうけど、こういうことなのか。胸はまだぺったんこなのに。
だがしかし、俺にはそんな覚悟は、このあんみつに入ってる寒天の欠片ほどにも持ち合わせてはいない。なので、俺はまたまた話を逸らした。
「とりあえずその話は置いておいて、俺は何をお願いしたかというと、聖修大への推薦が決まりますようにってお祈りしといた。」
「内部進学狙ってるの?」
「うんうん、聖修の芸術学部にメディア芸術学科ってのが最近できたじゃん。あれ狙ってて、聖修大付属高校受けたんだ。芸術学部の推薦枠って少ないから競争率高いし。内部の推薦で行ければかなり楽だからね」
「メディア芸術学科って何するとこなの?」
「んー、なんかデッサンやったり、3DでCG作ったり、プログラム組んだりするみたい。俺はやっぱゲーム好きだから、将来はゲーム会社に就職できたらなと思ってて」
なにそのオタ臭い学科、と思われるかと思ったが、みいは予想外にしんみりとして、深刻な面持ちで、
「・・・・・・勇介、ちゃんと将来のこと考えてるんだ。わたしはどうするか考えてないなあ。大学もどうするか悩んでる」
みいは深く考え込んでしまったようだ。
「これはますます勇介と結婚するしかないわね」
・・・・・・冗談なのか本気なのか分からないみいの結婚願望トークを、この後も延々と聞かされるのだった。
というわけで、とりあえずここまで書けました。
続きは第2話としてまとめて同人誌にする予定です。
予定では4/20のサンクリ。↑までで原稿用紙7枚分だけど、第2話は全部で30枚くらいかな、たぶん。
新キャラのオンパレードとなります。
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ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で 第1話 まとめ
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第1話 わたしを月につれてって
1
2001年、冬。東京都中野区も寒かった。
俺、筒中勇介(つつなかゆうすけ)は聖修大学付属高校2年生の17歳。大学付属高なので、エスカレーター式に大学へと行ける。成績も中の上だし、このまま波風立てずにおとなしくやっていけば、確実に付属大学へと行けるだろう。
そんな折、お隣に住む俺の幼なじみ、中川深衣(なかがわみい)が、「おもしろいネットゲーム見つけたからあんたも始めなさい」と勧誘してきた。誘うというよりも半分命令といった感じだろうか。まあ、俺もネットの申し子と言われた男なので、オンラインゲームのひとつもやった事がないというのはいかがなものかと思い、早速公式サイトからゲームをダウンロード、必要環境もOK、インストールして始めてみた。それが『アカシック年代記』との最初の出会いだった。
「キャラクターネームは・・・・・・勇(ゆう)でいいかな。種族はハーフエルフと。これでスタート」
勇(ゆう)という名前のハーフエルフで始めた事を携帯メールでみいに伝える。その間にゲームは読み込まれ、モニターには序々にアカシック年代記のワールドが露わになっていった。
・・・・・・衝撃だった。不安を掻き立てるようなBGMとともに、真っ暗な森にひとり、ポツーンと立っている。暗闇に覆われた森を照らす、まばゆいばかりの一本の樹・・・・・・見上げると巨大な樹の上に村が展開されていた。村から光が溢れ出し、かなりの人数が移動したり会話したりしている。樹上(じゅじょう)で展開されるこの光景を眺めながら、ただ呆然とするだけだった。
「おーい、聞こえる?」(ピンク色で表示)
ピンク色の文字がチャット欄を躍る。画面の下のほうにウィンドウが開いている。そこにチャットや攻撃などのログが表示されるようだ。
「これは遠距離でも通じる、TELL(テル)って言われてるチャットね。個人の間だけ聞こえるの。ピンク色で表示されているやつよ。周囲の人に聞こえるのはSAY(セイ)。SAYは白文字で表示されるから。入力は、TELLの後に名前を打ち込んで、その後半角スペース打ってから何か打ち込んでみて」
俺は言われるとおりに打ち込む。「おーい」おお、ピンク色の文字でチャットが出た。どうやら上手くいったらしい。続けて入力。「みい、どこ」
「いますぐそばまで来てるよ。そろそろ見えると思う」
本当に見えてきた。魔法使いが着るような真っ黒なローブと帽子を被った女キャラが。種族は人間っぽい。小柄で、髪型は前髪ぱっつんのロングヘアー、いわゆる姫カットだ。髪の色は彩度の高いオレンジ色をしていた。
「おまたせー」
「みい?・・・・・・なんか髪の毛凄い色なんですけど。どこの子ギャルかと・・・・・・」
「子ギャルで悪かったわね。オレンジ色かわいいじゃない。好きなの。明るくてサイコーでしょ」
「そうですね、とっても明るいと思いますです」
よく見たら、目も赤かった。髪の毛オレンジ色で目も赤いってどんだけー。まあ、こんなとこでみいをからかってもしょうがない。そんな俺のキャラの外見は、平均的な身長のハーフエルフで、黒髪のショートヘアー、やや耳が長い。鎧はまだ無く、ボロい布の服を着ている。といっても職業でクレリックを選択しているので、将来的には鎧よりもローブを着る機会のほうが多いだろう。
「なんかダガー1本しか持ってないんですけど」
「短剣1本で冒険に飛び出すなんて、まさにロマンじゃない。短剣だけに探検みたいな」
しょうもなー。なんでこうボケ合戦みたくなるのだろうか。ツッコミ役がいないからだろうか。こんな調子で誰もツッコミをいれない、というのが俺とみいの日常だった。
2
翌日、学校を出たところで中川深衣(なかがわみい)が待ちかまえていた。
「昨日はおもしろかったわね」
みいはクスクスと楽しげに笑った。
「勇介ってば、オーガに追いかけられてヒイヒイいってたし。30分くらいオーガを引きずり回してたわね。わたしもずっと魔法撃ってたけど、なかなか死なないわね。ほんとタフだったわー」
「ダガー1本しか持ってないクレリックに出来ることといったら、引くくらいしか・・・・・・」
「いや、見事なPULL(プル)だったわよ。浜辺まで誘導して、他の敵引っかけないようにグルグル上手く回ってたし。
nicepullって言ってあげる。ただ、火力がちょっと足りなかったわね」
みいとは幼なじみで、家も狭い私道を挟んで真向かいである。なんの因果か、俺の部屋の真向かいがみいの部屋だった。真向かいなので、カーテンが開いていれば丸見えである。作り話のような話であるが、事実である。幼なじみの部屋が真向かいに!なんてファンタジーは、この広い世界では意外にもよくある事だったりするのだ。といってもカーテンが開いたままなんてミスをみいが犯すわけもないのだが。常に閉じたままの開かずのカーテンである。俺はこれを鉄のカーテンと命名している。
子供のころからとにかく鼻っ柱が強いみいに、俺は振り回されっぱなしだった。荷物持ちやらパシリやらは当たり前。言うことを聞かなければすぐ癇癪(かんしゃく)を起こす。報復として俺の部屋から非常にプライベートな書物を持ち出し、女子専用の化粧室でさらしものにする、なんていう事もしょっちゅうであった。俺の部屋に無断でみいを上げるうちの親にも問題があるが。学校から戻る前に先回りして、勉強会などと称して部屋に上がり込んでいるのだから、幼なじみとは恐ろしい。
このような事がたびたび起きていたので、同級生の女子からは「ヘンタイ君」などという不名誉なあだ名まで付けられていた。見た目はそんな悪くないと思ってるのに!みいのイメージ戦略には脱帽である。
「昨日は結構レベルあがったわね。勇介はヒールも覚えたし」
「うんうん、レベル10になってやっとヒールの魔法使えるようになったよ。ようやくクレリックらしくなってきた」
雑談に花を咲かせながら、コミュニティバスのバス停へと向かう。このバスは中野区を縦断する路線で、周辺の住人にとっては非常に便利なバスである。俺とみいはこのバスで通学していた。通学時間はわずか10分である。
「今日も帰ったらさっそく冒険の旅に出ますか」
バス停まで辿りついたところで、みいニヤニヤしながら言った。
「今日は月まで付き合ってもらうわよ」

3
「月っすか。夜空に輝くお月様っすか」
「アカシック年代記にも月はあるのよ。バンブーシリンダーっていうアイテム使うと行けるの。首都クーフーリンのお店で、800ギルダーだったかな」
「800ギルダーかあ。昨日の狩りで出たラウンドシールドを売れば1000ギルダーくらいになるから、なんとかなるかも」
「まあ、足りなかったらわたしが出したげるけどね。今日は月に一度のフルムーンだから、モンスターがたくさん湧くし、ボスキャラも出るのよ。これは行くしかないでしょ」
帰宅すると、早速PCの電源をONにする。ブーン、とファンの回転音が唸るように響く。WINDOWSが起動すると、この部品を寄せ集めたただの箱に命が吹き込まれるような感じがする。中学1年の頃からPCを始めたけれど、もはやPCが体の一部であるかのように感じていた。このただの箱を通して、世界と、人と、繋がっているような感覚。この箱の向こう側に、確かに誰かがいた。
メッセを見ると、みいはすでにオンラインだった。同じくらいに家に入ったはずなのに、相変わらず速いな・・・・・・
おとなりの中川家は200坪くらいありそうな豪邸である。中野区で200坪といったら、ウン億円の世界である。なのだが、この広大な家にみいはたったひとりで生活している。
2年ほど前、みいの両親は旅先から帰らぬ人となった。悲惨な列車事故だった。ただひとり、取り残されるという現実。どうやって生活していくのか。遺産はどうするのか。まだ15歳だったみいは、ただ泣きじゃくっていた。広くて立派な家だけれど、肝心なものが欠けてしまった。
お隣の中川家とうちは交流が深く、うちの親も俺も葬儀には参列したのだけれど、その時のみいはあまりにもいたたまれなかった。この後、みいはたったひとりでこの家で生活していくことを選択する。その頃から俺とみいとの絆は切っても切れないような、そんな関係となったように感じる。
「おー、まさに月面だ」
バンブーシリンダーは、1回だけ使える乗り物である。巨大な竹筒の中に入ると、月までカッ飛んでいくのだ。移動と同じなので、飛行中の景色もよく見える。みいが乗ったバンブーシリンダーがすぐそばを飛行しているのも見えた。
「こちら、みい。視界良好なり。地球はやっぱり青かった」
「ガガーリンすか」
「地球が遠ざかっていくよー。知ってる?お月様って月の精霊がたくさん集まってできてるのよ。だから光ってるの」
「月の精霊の量で満ち欠けが決まるんだっけ」
「よく知ってるじゃない。今日は月に一度の精霊会議の日だから満月なのよ。月の精霊がたくさん集まってるわ」
アカシック年代記の世界観の話である。火・水・風・土の4大元素の他にも月・日・闇・冥・聖などの元素があり、その力によって地形や天候、モンスターのPOP数、魔法の威力、などが変わるのである。月の満ち欠けも精霊の数によって決まってくるのだ。
アカシック年代記における世界観は、この精霊の概念に基づいている。ワールドには精霊の支配地域があり、その地域を支配している精霊の力が色濃く反映される。火の精霊が支配している地域であれば火の精霊の力が強まり、サラマンダーなどがPOPするし、水の精霊が支配する地域であれば水生モンスターが力を発揮する。
満月は月の精霊が大量に集まっている事を意味する。精霊が大量に集まっているということは、同時にPOP数が大幅に増えるということを意味するのである。月であれば月の精霊であるムーンラビットが大量に湧くし、モンスターの中でも上位に位置するボスモンスターも出現するのである。
この、精霊がたくさん集まってボスモンスターもPOPする日のことを、精霊会議の日と呼んでいるのである。精霊会議の日は精霊ごとにずれていて、日は1日、冥は4日、土は5日、闇は8日、火は10日、月は15日、風は20日、聖は25日、水は30日、となっている。
・・・・・・続きは同人誌で!
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ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で
第1話 わたしを月につれてって
1
2001年、冬。東京都中野区も寒かった。
俺、筒中勇介(つつなかゆうすけ)は聖修大学付属高校2年生の17歳。大学付属高なので、エスカレーター式に大学へと行ける。成績も中の上だし、このまま波風立てずにおとなしくやっていけば、確実に付属大学へと行けるだろう。
そんな折、お隣に住む俺の幼なじみ、中川深衣(なかがわみい)が、「おもしろいネットゲーム見つけたからあんたも始めなさい」と勧誘してきた。誘うというよりも半分命令といった感じだろうか。まあ、俺もネットの申し子と言われた男なので、オンラインゲームのひとつもやった事がないというのはいかがなものかと思い、早速公式サイトからゲームをダウンロード、必要環境もOK、インストールして始めてみた。それが『アカシック年代記』との最初の出会いだった。
「キャラクターネームは・・・・・・勇(ゆう)でいいかな。種族はハーフエルフと。これでスタート」
勇(ゆう)という名前のハーフエルフで始めた事を携帯メールでみいに伝える。その間にゲームは読み込まれ、モニターには序々にアカシック年代記のワールドが露わになっていった。
・・・・・・衝撃だった。不安を掻き立てるようなBGMとともに、真っ暗な森にひとり、ポツーンと立っている。暗闇に覆われた森を照らす、まばゆいばかりの一本の樹・・・・・・見上げると巨大な樹の上に村が展開されていた。村から光が溢れ出し、かなりの人数が移動したり会話したりしている。樹上(じゅじょう)で展開されるこの光景を眺めながら、ただ呆然とするだけだった。
「おーい、聞こえる?」(ピンク色で表示)
ピンク色の文字がチャット欄を躍る。画面の下のほうにウィンドウが開いている。そこにチャットや攻撃などのログが表示されるようだ。
「これは遠距離でも通じる、TELL(テル)って言われてるチャットね。個人の間だけ聞こえるの。ピンク色で表示されているやつよ。周囲の人に聞こえるのはSAY(セイ)。SAYは白文字で表示されるから。入力は、TELLの後に名前を打ち込んで、その後半角スペース打ってから何か打ち込んでみて」
俺は言われるとおりに打ち込む。「おーい」おお、ピンク色の文字でチャットが出た。どうやら上手くいったらしい。続けて入力。「みい、どこ」
「いますぐそばまで来てるよ。そろそろ見えると思う」
本当に見えてきた。魔法使いが着るような真っ黒なローブと帽子を被った女キャラが。種族は人間っぽい。小柄で、髪型は前髪ぱっつんのロングヘアー、いわゆる姫カットだ。髪の色は彩度の高いオレンジ色をしていた。
「おまたせー」
「みい?・・・・・・なんか髪の毛凄い色なんですけど。どこの子ギャルかと・・・・・・」
「子ギャルで悪かったわね。オレンジ色かわいいじゃない。好きなの。明るくてサイコーでしょ」
「そうですね、とっても明るいと思いますです」
よく見たら、目も赤かった。髪の毛オレンジ色で目も赤いってどんだけー。まあ、こんなとこでみいをからかってもしょうがない。そんな俺のキャラの外見は、平均的な身長のハーフエルフで、黒髪のショートヘアー、やや耳が長い。鎧はまだ無く、ボロい布の服を着ている。といっても職業でクレリックを選択しているので、将来的には鎧よりもローブを着る機会のほうが多いだろう。
「なんかダガー1本しか持ってないんですけど」
「短剣1本で冒険に飛び出すなんて、まさにロマンじゃない。短剣だけに探検みたいな」
しょうもなー。なんでこうボケ合戦みたくなるのだろうか。ツッコミ役がいないからだろうか。こんな調子で誰もツッコミをいれない、というのが俺とみいの日常だった。
2
翌日、学校を出たところで中川深衣(なかがわみい)が待ちかまえていた。
「昨日はおもしろかったわね」
みいはクスクスと楽しげに笑った。
「勇介ってば、オーガに追いかけられてヒイヒイいってたし。30分くらいオーガを引きずり回してたわね。わたしもずっと魔法撃ってたけど、なかなか死なないわね。ほんとタフだったわー」
「ダガー1本しか持ってないクレリックに出来ることといったら、引くくらいしか・・・・・・」
「いや、見事なPULL(プル)だったわよ。浜辺まで誘導して、他の敵引っかけないようにグルグル上手く回ってたし。
nicepullって言ってあげる。ただ、火力がちょっと足りなかったわね」
みいとは幼なじみで、家も狭い私道を挟んで真向かいである。なんの因果か、俺の部屋の真向かいがみいの部屋だった。真向かいなので、カーテンが開いていれば丸見えである。作り話のような話であるが、事実である。幼なじみの部屋が真向かいに!なんてファンタジーは、この広い世界では意外にもよくある事だったりするのだ。といってもカーテンが開いたままなんてミスをみいが犯すわけもないのだが。常に閉じたままの開かずのカーテンである。俺はこれを鉄のカーテンと命名している。
子供のころからとにかく鼻っ柱が強いみいに、俺は振り回されっぱなしだった。荷物持ちやらパシリやらは当たり前。言うことを聞かなければすぐ癇癪(かんしゃく)を起こす。報復として俺の部屋から非常にプライベートな書物を持ち出し、女子専用の化粧室でさらしものにする、なんていう事もしょっちゅうであった。俺の部屋に無断でみいを上げるうちの親にも問題があるが。学校から戻る前に先回りして、勉強会などと称して部屋に上がり込んでいるのだから、幼なじみとは恐ろしい。
このような事がたびたび起きていたので、同級生の女子からは「ヘンタイ君」などという不名誉なあだ名まで付けられていた。見た目はそんな悪くないと思ってるのに!みいのイメージ戦略には脱帽である。
「昨日は結構レベルあがったわね。勇介はヒールも覚えたし」
「うんうん、レベル10になってやっとヒールの魔法使えるようになったよ。ようやくクレリックらしくなってきた」
雑談に花を咲かせながら、コミュニティバスのバス停へと向かう。このバスは中野区を縦断する路線で、周辺の住人にとっては非常に便利なバスである。俺とみいはこのバスで通学していた。通学時間はわずか10分である。
「今日も帰ったらさっそく冒険の旅に出ますか」
バス停まで辿りついたところで、みいニヤニヤしながら言った。
「今日は月まで付き合ってもらうわよ」

3
「月っすか。夜空に輝くお月様っすか」
「アカシック年代記にも月はあるのよ。バンブーシリンダーっていうアイテム使うと行けるの。首都クーフーリンのお店で、800ギルダーだったかな」
「800ギルダーかあ。昨日の狩りで出たラウンドシールドを売れば1000ギルダーくらいになるから、なんとかなるかも」
「まあ、足りなかったらわたしが出したげるけどね。今日は月に一度のフルムーンだから、モンスターがたくさん湧くし、ボスキャラも出るのよ。これは行くしかないでしょ」
帰宅すると、早速PCの電源をONにする。ブーン、とファンの回転音が唸るように響く。WINDOWSが起動すると、この部品を寄せ集めたただの箱に命が吹き込まれるような感じがする。中学1年の頃からPCを始めたけれど、もはやPCが体の一部であるかのように感じていた。このただの箱を通して、世界と、人と、繋がっているような感覚。この箱の向こう側に、確かに誰かがいた。
メッセを見ると、みいはすでにオンラインだった。同じくらいに家に入ったはずなのに、相変わらず速いな・・・・・・
おとなりの中川家は200坪くらいありそうな豪邸である。中野区で200坪といったら、ウン億円の世界である。なのだが、この広大な家にみいはたったひとりで生活している。
2年ほど前、みいの両親は旅先から帰らぬ人となった。悲惨な列車事故だった。ただひとり、取り残されるという現実。どうやって生活していくのか。遺産はどうするのか。まだ15歳だったみいは、ただ泣きじゃくっていた。広くて立派な家だけれど、肝心なものが欠けてしまった。
お隣の中川家とうちは交流が深く、うちの親も俺も葬儀には参列したのだけれど、その時のみいはあまりにもいたたまれなかった。この後、みいはたったひとりでこの家で生活していくことを選択する。その頃から俺とみいとの絆は切っても切れないような、そんな関係となったように感じる。
「おー、まさに月面だ」
バンブーシリンダーは、1回だけ使える乗り物である。巨大な竹筒の中に入ると、月までカッ飛んでいくのだ。移動と同じなので、飛行中の景色もよく見える。みいが乗ったバンブーシリンダーがすぐそばを飛行しているのも見えた。
「こちら、みい。視界良好なり。地球はやっぱり青かった」
「ガガーリンすか」
「地球が遠ざかっていくよー。知ってる?お月様って月の精霊がたくさん集まってできてるのよ。だから光ってるの」
「月の精霊の量で満ち欠けが決まるんだっけ」
「よく知ってるじゃない。今日は月に一度の精霊会議の日だから満月なのよ。月の精霊がたくさん集まってるわ」
アカシック年代記の世界観の話である。火・水・風・土の4大元素の他にも月・日・闇・冥・聖などの元素があり、その力によって地形や天候、モンスターのPOP数、魔法の威力、などが変わるのである。月の満ち欠けも精霊の数によって決まってくるのだ。
アカシック年代記における世界観は、この精霊の概念に基づいている。ワールドには精霊の支配地域があり、その地域を支配している精霊の力が色濃く反映される。火の精霊が支配している地域であれば火の精霊の力が強まり、サラマンダーなどがPOPするし、水の精霊が支配する地域であれば水生モンスターが力を発揮する。
満月は月の精霊が大量に集まっている事を意味する。精霊が大量に集まっているということは、同時にPOP数が大幅に増えるということを意味するのである。月であれば月の精霊であるムーンラビットが大量に湧くし、モンスターの中でも上位に位置するボスモンスターも出現するのである。
この、精霊がたくさん集まってボスモンスターもPOPする日のことを、精霊会議の日と呼んでいるのである。精霊会議の日は精霊ごとにずれていて、日は1日、冥は4日、土は5日、闇は8日、火は10日、月は15日、風は20日、聖は25日、水は30日、となっている。
・・・・・・続きは同人誌で!
第2話UP
タグ:VR ひとりでラノベ オリジナル コミケ C73
※追記 以下の部分は第1話の冒頭部分になりました。
第2話目もUPしてみるテスト。
自分的には結構上手く書けたんじゃないかと・・・・・なんか方向性も見えてきた感じ。
てか、本当は戦争物なんですけどね。いつになったらそこまで辿り着くのやら。
第2話 はじめての年代記
2001年、冬。東京都中野区も寒かった。
俺は高校2年で、大学受験対策を考え始めていた。といっても大学付属高であり、もともと推薦狙いで高校も入ったので、このまま波風立てずにおとなしくやっていけば、確実に付属大学へと行ける位置をキープしていた。
そんな折、お隣に住む俺の幼馴染み、中川深衣(なかがわみい)が「おもしろいネットゲーム見つけたからあんたも始めなさい」と勧誘してきた。誘うというよりも半分命令といった感じだろうか。まあ、俺もネットの申し子と言われた男なので、オンラインゲームのひとつもやった事がないというのはいかがなものかと思い、早速公式サイトからゲームをダウンロード、必要環境もOK、インストールして始めてみた。それが『アカシック年代記』との最初の出会いだった。
・・・・・・衝撃だった。不安を煽るようなBGMとともに、真っ暗な森にひとり、ポツーンと立っている。真っ暗な森の中を照らす、まばゆいばかりの一本の樹・・・・・・見上げると巨大な樹の上に村が展開されていた。村から光が溢れ出し、かなりの人数が移動したり会話したりしている。樹上(じゅじょう)で展開されるこの光景を眺めながら、ただ呆然とするだけだった。
「おーい、聞こえる?」(ピンク色で表示)
ピンク色の文字がチャット欄を躍る。画面の下のほうにウィンドウが開いている。そこにチャットや攻撃などのログが表示されるようだ。
「これは遠距離でも通じる、TELL(テル)って言われてるチャットね。個人の間だけ聞こえるの。ピンク色で表示されているやつよ。周囲の人に聞こえるのはSAY(セイ)。SAYは白文字で表示されるから。入力は、TELLの後に名前を打ち込んで、その後半角スペース打ってから何か打ち込んでみて」
俺は言われるとおりに打ち込む。「おーい」おお、ピンク色の文字でチャットが出た。どうやら上手くいったらしい。続けて入力。「みい、どこ」
「いますぐそばまで来てるよ。そろそろ見えると思う」
本当に見えてきた。魔法使いが着るような真っ黒なローブと帽子を被った女キャラが。種族は人間っぽい。小柄で、髪型は前髪ぱっつんのロングヘアー、いわゆる姫カットだ。髪の色は彩度の高いオレンジ色をしていた。
「おまたせー」
「みい?・・・・・・なんか髪の毛凄い色なんですけど。どこの子ギャルかと・・・・・・」
「子ギャルで悪かったわね。オレンジ色かわいいじゃない。好きなの。明るくてサイコーでしょ」
「・・・・・・そうですね、とっても明るいと思いますです」
よく見たら、目も赤かった。髪の毛オレンジ色で目も赤いってどんだけー。まあ、こんなとこでみいをからかってもしょうがない。そんな俺のキャラの外見は、平均的な身長のハーフエルフで、黒髪のショートヘアー、やや耳が長い。鎧はまだ無く、ボロい布の服を着ている。といっても職業でクレリックを選択しているので、将来的には鎧よりもローブを着る機会のほうが多いだろう。
「なんかダガー1本しか持ってないんですけど」
「短剣1本で冒険に飛び出すなんて、まさにロマンじゃない。短剣だけに探検みたいな」
しょうもなー。なんでこうボケ合戦みたくなるのだろうか。ツッコミ役がいないからだろうか。こんな調子で誰もツッコミをいれない、というのが俺とみいの日常だった。
※追記 以下の部分は第1話の冒頭部分になりました。
第2話目もUPしてみるテスト。
自分的には結構上手く書けたんじゃないかと・・・・・なんか方向性も見えてきた感じ。
てか、本当は戦争物なんですけどね。いつになったらそこまで辿り着くのやら。
第2話 はじめての年代記
2001年、冬。東京都中野区も寒かった。
俺は高校2年で、大学受験対策を考え始めていた。といっても大学付属高であり、もともと推薦狙いで高校も入ったので、このまま波風立てずにおとなしくやっていけば、確実に付属大学へと行ける位置をキープしていた。
そんな折、お隣に住む俺の幼馴染み、中川深衣(なかがわみい)が「おもしろいネットゲーム見つけたからあんたも始めなさい」と勧誘してきた。誘うというよりも半分命令といった感じだろうか。まあ、俺もネットの申し子と言われた男なので、オンラインゲームのひとつもやった事がないというのはいかがなものかと思い、早速公式サイトからゲームをダウンロード、必要環境もOK、インストールして始めてみた。それが『アカシック年代記』との最初の出会いだった。
・・・・・・衝撃だった。不安を煽るようなBGMとともに、真っ暗な森にひとり、ポツーンと立っている。真っ暗な森の中を照らす、まばゆいばかりの一本の樹・・・・・・見上げると巨大な樹の上に村が展開されていた。村から光が溢れ出し、かなりの人数が移動したり会話したりしている。樹上(じゅじょう)で展開されるこの光景を眺めながら、ただ呆然とするだけだった。
「おーい、聞こえる?」(ピンク色で表示)
ピンク色の文字がチャット欄を躍る。画面の下のほうにウィンドウが開いている。そこにチャットや攻撃などのログが表示されるようだ。
「これは遠距離でも通じる、TELL(テル)って言われてるチャットね。個人の間だけ聞こえるの。ピンク色で表示されているやつよ。周囲の人に聞こえるのはSAY(セイ)。SAYは白文字で表示されるから。入力は、TELLの後に名前を打ち込んで、その後半角スペース打ってから何か打ち込んでみて」
俺は言われるとおりに打ち込む。「おーい」おお、ピンク色の文字でチャットが出た。どうやら上手くいったらしい。続けて入力。「みい、どこ」
「いますぐそばまで来てるよ。そろそろ見えると思う」
本当に見えてきた。魔法使いが着るような真っ黒なローブと帽子を被った女キャラが。種族は人間っぽい。小柄で、髪型は前髪ぱっつんのロングヘアー、いわゆる姫カットだ。髪の色は彩度の高いオレンジ色をしていた。
「おまたせー」
「みい?・・・・・・なんか髪の毛凄い色なんですけど。どこの子ギャルかと・・・・・・」
「子ギャルで悪かったわね。オレンジ色かわいいじゃない。好きなの。明るくてサイコーでしょ」
「・・・・・・そうですね、とっても明るいと思いますです」
よく見たら、目も赤かった。髪の毛オレンジ色で目も赤いってどんだけー。まあ、こんなとこでみいをからかってもしょうがない。そんな俺のキャラの外見は、平均的な身長のハーフエルフで、黒髪のショートヘアー、やや耳が長い。鎧はまだ無く、ボロい布の服を着ている。といっても職業でクレリックを選択しているので、将来的には鎧よりもローブを着る機会のほうが多いだろう。
「なんかダガー1本しか持ってないんですけど」
「短剣1本で冒険に飛び出すなんて、まさにロマンじゃない。短剣だけに探検みたいな」
しょうもなー。なんでこうボケ合戦みたくなるのだろうか。ツッコミ役がいないからだろうか。こんな調子で誰もツッコミをいれない、というのが俺とみいの日常だった。
やっぱコピ本で
タグ:オリジナル コミケ C73
毎日UPとか書いたけど、余裕でムリでした。
やっぱテキトーにいきますw
冬コミの本いろいろ考えたんだけど、やっぱコピ本にしようと思います。
オフセットでいこうと思ってたんだけど、少部数だと高いし、なによりカラーが高い。
んで、いろいろ調べた結果、12〜16ページ程度ならキンコーズでプリントして、自分で中綴じ本作ったほうが圧倒的に安くて楽なんじゃないかと。
締め切りも冬コミ直前までいけるし。実は締め切りがでかいけどw
でも直前まで作れる分、内容がかなり充実させられる気がする。今回はサークル参加初めてだし、部数も全然読めないので、内容をもっと詰めていこうかと。
キンコーズのサイト見てみたら、USBメモリでデータ持ってけるし、なによりイラレ使えるじゃん!(俺イラレ使いなので)
うちのイラレで作ってそのまま印刷すればいいだけだからすげー楽。ラスター画像じゃないベクター線だからフォントきれいに出るし。小説本だからフォントの量が多いし。
表紙カラーで本文モノクロの中綴じだったら、印刷会社でもコピ本でも実質同じな気がする。
んで、キンコーズでデータから出力すれば、30部でだいたい3000円で作れる。ホチキスする手間がかかるけど、12〜16ページって紙にして3〜4枚しかないので、30部だったら速攻で終わるし。
ページ数多かったら印刷所に頼んでもいいかなと思うけど、少部数・少ページならコピ本のほうがいろいろ遊べると思うんだ。
原価が1部100円。これなら安くていい感じ。当初の想定の100円本も可能になります。
参考はコレ↓
正しい?コピー本のつくりかた。その20
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/2chbook/1189866897/
毎日UPとか書いたけど、余裕でムリでした。
やっぱテキトーにいきますw
冬コミの本いろいろ考えたんだけど、やっぱコピ本にしようと思います。
オフセットでいこうと思ってたんだけど、少部数だと高いし、なによりカラーが高い。
んで、いろいろ調べた結果、12〜16ページ程度ならキンコーズでプリントして、自分で中綴じ本作ったほうが圧倒的に安くて楽なんじゃないかと。
締め切りも冬コミ直前までいけるし。実は締め切りがでかいけどw
でも直前まで作れる分、内容がかなり充実させられる気がする。今回はサークル参加初めてだし、部数も全然読めないので、内容をもっと詰めていこうかと。
キンコーズのサイト見てみたら、USBメモリでデータ持ってけるし、なによりイラレ使えるじゃん!(俺イラレ使いなので)
うちのイラレで作ってそのまま印刷すればいいだけだからすげー楽。ラスター画像じゃないベクター線だからフォントきれいに出るし。小説本だからフォントの量が多いし。
表紙カラーで本文モノクロの中綴じだったら、印刷会社でもコピ本でも実質同じな気がする。
んで、キンコーズでデータから出力すれば、30部でだいたい3000円で作れる。ホチキスする手間がかかるけど、12〜16ページって紙にして3〜4枚しかないので、30部だったら速攻で終わるし。
ページ数多かったら印刷所に頼んでもいいかなと思うけど、少部数・少ページならコピ本のほうがいろいろ遊べると思うんだ。
原価が1部100円。これなら安くていい感じ。当初の想定の100円本も可能になります。
参考はコレ↓
正しい?コピー本のつくりかた。その20
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/2chbook/1189866897/
毎日UP再開します
タグ:VR ひとりでラノベ オリジナル コミケ C73
冬コミ原稿がやばいくらい進まないので、毎日UP再開します。
どうも見られてないと書けないっぽい。それと、こうやってブログの記事打つのって現実逃避的でなんらストレスなくサクサク進むけど、VerticalEditor(ワープロソフトみたいなやつ)に向かってると現実に向かってる気がして難しく考えてしまって途端に進まなくなります。
毎日UPのハードル作ると結構進むんだよね、去年の今頃もやってたけど。腱鞘炎悪化してたからやめたけど、文字打つのは絵より負担が少ないので毎日でもいけそう。
ということで、今まで書いたのをバッサリ切って、前回に書いた、2ってとこから書き出しにしようと思います。
1のとこ全ボツ。理由はなんか今イチだから。
第1話 わたしを月につれてって
1
学校を出たところで中川深衣(なかがわみい)が待ちかまえていた。
みいとは幼なじみで、家も狭い私道を挟んで真向かいである。なんの因果か、俺の部屋の真向かいがみいの部屋だった。真向かいなので、カーテンが開いていれば丸見えである。作り話のような話であるが、事実である。幼なじみの部屋が真向かいに!なんてファンタジーは、この広い世界では意外にもよくある事だったりするのだ。
〜〜〜以下前回と同文
冬コミ原稿がやばいくらい進まないので、毎日UP再開します。
どうも見られてないと書けないっぽい。それと、こうやってブログの記事打つのって現実逃避的でなんらストレスなくサクサク進むけど、VerticalEditor(ワープロソフトみたいなやつ)に向かってると現実に向かってる気がして難しく考えてしまって途端に進まなくなります。
毎日UPのハードル作ると結構進むんだよね、去年の今頃もやってたけど。腱鞘炎悪化してたからやめたけど、文字打つのは絵より負担が少ないので毎日でもいけそう。
ということで、今まで書いたのをバッサリ切って、前回に書いた、2ってとこから書き出しにしようと思います。
1のとこ全ボツ。理由はなんか今イチだから。
第1話 わたしを月につれてって
1
学校を出たところで中川深衣(なかがわみい)が待ちかまえていた。
みいとは幼なじみで、家も狭い私道を挟んで真向かいである。なんの因果か、俺の部屋の真向かいがみいの部屋だった。真向かいなので、カーテンが開いていれば丸見えである。作り話のような話であるが、事実である。幼なじみの部屋が真向かいに!なんてファンタジーは、この広い世界では意外にもよくある事だったりするのだ。
〜〜〜以下前回と同文
冬コミ原稿はこんな感じ
タグ:VR ひとりでラノベ オリジナル コミケ C73
スケジュール作ってみたら、12/2までにノベル部分完成させないとまずい模様。
ようやく重い腰を上げて書き始めてます。
↓こんな感じで50枚ほど書く予定です。
2
翌日、学校を出たところでみいが待ちかまえていた。
みいとは幼なじみで、家も狭い私道を挟んで真向かいである。なんの因果か、俺の部屋の真向かいがみいの部屋だった。真向かいなので、カーテンが開いていれば丸見えである。作り話のような話であるが、事実である。幼なじみの部屋が真向かいに!なんてファンタジーは、この広い世界では意外にもよくある事だったりするのだ。といってもカーテンが開いたままなんてミスをみいが犯すわけもないのだが。常に閉じたままの開かずのカーテンである。俺はこれを鉄のカーテンと命名している。
子供のころからとにかく鼻っ柱が強いみいに、俺は振り回されっぱなしだった。荷物持ちやらパシリやらは当たり前。言うことを聞かなければすぐ癇癪を起こす。報復として俺の部屋から非常にプライベートな書物を持ち出し、女子専用の化粧室でさらしものにする、なんていう事もしょっちゅうであった。俺の部屋に無断でみいを上げる親にも問題があるが。学校から戻る前に先回りして、勉強会などと称して部屋に上がり込んでいるのだから、幼なじみとは恐ろしい。
このような事がたびたび起きていたので、同級生の女子からは「ヘンタイ君」などという不名誉なあだ名まで付けられていた。見た目はそんな悪くないと思ってるのに!みいのイメージ戦略には脱帽である。
「昨日のこと、忘れてないんだからね」
ほら、さっそく来た。
「悪いと思ってる?」
「もちろんだよ、正直反省している」
「・・・・・・なんか癪にさわる言いかたね。でもいいわ、昨日のお詫びとして、今日は付き合ってもらうんだからね」
「買い物でもなんでもお付き合いいたしますよ、みい様の下僕ですから」
そうこうしているうちにバス停まで辿りついたので、どこに行くのか尋ねると、みいは言った。
「今日は月まで付き合ってもらうわよ」
3
月っすか。夜空に輝くお月様っすか。
「どっかのお店かなんかっすか?」
と尋ねると、
「アカシック年代記の月に決まってるでしょ。相変わらず察しが悪いわね。今日は月に一度のフルムーンだから、イベントモンスがたくさん湧くし、ボスキャラも出るのよ。これは行くしかないでしょ」
最近、みいはこのオンラインゲームにお熱なのである。俺もみいに付き合って最近このネトゲを始めたのだった。俺はヒーラーで始めたわけだが、みいのWIZのほうがキャラクターのlvは高く、俺は後ろをついて回っておこぼれを頂戴する、という風だった。なので、ゲーム内の細かいことはまだよく分かっていない。
スケジュール作ってみたら、12/2までにノベル部分完成させないとまずい模様。
ようやく重い腰を上げて書き始めてます。
↓こんな感じで50枚ほど書く予定です。
2
翌日、学校を出たところでみいが待ちかまえていた。
みいとは幼なじみで、家も狭い私道を挟んで真向かいである。なんの因果か、俺の部屋の真向かいがみいの部屋だった。真向かいなので、カーテンが開いていれば丸見えである。作り話のような話であるが、事実である。幼なじみの部屋が真向かいに!なんてファンタジーは、この広い世界では意外にもよくある事だったりするのだ。といってもカーテンが開いたままなんてミスをみいが犯すわけもないのだが。常に閉じたままの開かずのカーテンである。俺はこれを鉄のカーテンと命名している。
子供のころからとにかく鼻っ柱が強いみいに、俺は振り回されっぱなしだった。荷物持ちやらパシリやらは当たり前。言うことを聞かなければすぐ癇癪を起こす。報復として俺の部屋から非常にプライベートな書物を持ち出し、女子専用の化粧室でさらしものにする、なんていう事もしょっちゅうであった。俺の部屋に無断でみいを上げる親にも問題があるが。学校から戻る前に先回りして、勉強会などと称して部屋に上がり込んでいるのだから、幼なじみとは恐ろしい。
このような事がたびたび起きていたので、同級生の女子からは「ヘンタイ君」などという不名誉なあだ名まで付けられていた。見た目はそんな悪くないと思ってるのに!みいのイメージ戦略には脱帽である。
「昨日のこと、忘れてないんだからね」
ほら、さっそく来た。
「悪いと思ってる?」
「もちろんだよ、正直反省している」
「・・・・・・なんか癪にさわる言いかたね。でもいいわ、昨日のお詫びとして、今日は付き合ってもらうんだからね」
「買い物でもなんでもお付き合いいたしますよ、みい様の下僕ですから」
そうこうしているうちにバス停まで辿りついたので、どこに行くのか尋ねると、みいは言った。
「今日は月まで付き合ってもらうわよ」
3
月っすか。夜空に輝くお月様っすか。
「どっかのお店かなんかっすか?」
と尋ねると、
「アカシック年代記の月に決まってるでしょ。相変わらず察しが悪いわね。今日は月に一度のフルムーンだから、イベントモンスがたくさん湧くし、ボスキャラも出るのよ。これは行くしかないでしょ」
最近、みいはこのオンラインゲームにお熱なのである。俺もみいに付き合って最近このネトゲを始めたのだった。俺はヒーラーで始めたわけだが、みいのWIZのほうがキャラクターのlvは高く、俺は後ろをついて回っておこぼれを頂戴する、という風だった。なので、ゲーム内の細かいことはまだよく分かっていない。
修正
タグ:VR ひとりでラノベ
大幅に修正。
やっぱ冒頭部分だから相当面白くないとだめだなと思い。
今日、電撃hpに載ってたどくろちゃん読んで思ったけど、1行だけでもすげー面白いんだよね・・・・・・どっからでも読めるし。
もっと煮詰めていかないと駄目だな、みたいな。
「オークガードにスローの魔法をかけるよ。効果30sec」
一条の光がスプリングのようにグルグルと回転しながら、オークガードを包み込む。
レジスト!
スローの魔法はオークガードにはじき返されてしまった。と同時に、こちらに反応し、向かってくる。
「げっ、レジられた」
まさかレジストされるとは・・・・・・このレベルだとスローの成功率95%くらいなはずなのに・・・・・・
「おろかなオークガードよ、滝に打たれて無我の境地に達するがよい!WaterFall(ウォーターフォール)!」
水の塊が空から降ってきて、オークガードに直撃する。みいは、魔法が命中するとすぐさま走って逃げだした。オークガードがターゲットをみいに変更したからだ。
「オークガードにスローの魔法をかけるよ。効果30sec」
その隙にもう一度スローを掛ける。今度は成功。オークガードの移動速度は半分にまで落ちた。効果は30秒持続する。
みいはオークガードの移動速度低下を見て、距離を十分に保ちながら攻撃魔法の詠唱を開始した。
「立ちこめる霧よ。迷える子羊よ。水の精霊ウンディーネの名の下、オークガードは今、迷子になります!AcidFog(アシッドフォグ)!」
オークガードの周囲に毒々しい色をした霧が立ちこめ、そのままオークガードは立ち止まってしまった。視界を遮られ、毒の霧に包まれたまま、オークガードは毒のダメージを受け続ける。
「ふう。これで後はほっとくだけね」
やれやれ、といった感じを漂わせながら、みいはその場に座り込んだ。このゲームでは座っている方がMP(マジックポイント)の回復が速い為、魔法型のキャラクターはたいてい座ったままなのだ。
俺もみいの横に座り込むと、
「意外となんとかなるもんだな。こういうのもたまにはいいかも。まあ、経験効率はアレだが・・・・・・」
みいはムッとした感じで、
「経験効率は悪いけど、ドロップはふたりで山分けじゃない。お金は貯まるわよ。それに、上手くやれば効率だって良くなるんだからっ」
「・・・・・・とはいえ、経験効率については考える余地はあるわね。AcidFogは楽に倒せるんだけど、毒の効果が弱いからどうしても時間がかかるのよね。ゲームバランス取ってるんでしょうけど。殲滅速度上げるならWaterFall連射のほうがいいかも」
「まあ、どっちにしろ水系統の魔法は攻撃力に欠けるものが多いのよね。成長していけば毒の威力が上がっていくから、後半強みを発揮するのだけど。その為には今からINT(インテリジェンス)を上げる装備を作っていかないといけない・・・・・・」
いつ終わるとも知れないみい先生の講義が、また始まった。本当にゲーム大好きなのね、みたいな。こうして俺はみいの長話を延々聞きながら、読みかけの週刊少年スマイルなど読むのであった。
「・・・・・・それよりさ、魔法を打つときのSay(セイ)マクロ、もうちょいかっこいいのにしないか? 雰囲気は出てると思うけどさ。まあ、どんなのにしようが個人の勝手だけど・・・・・・」
これリアルで言ったら殴られるな、と思いつつ、チャットだからいいやと思い入力。
これがみいの逆鱗に触れたらしく。
「あんた、明日覚えてなさいよ」
大幅に修正。
やっぱ冒頭部分だから相当面白くないとだめだなと思い。
今日、電撃hpに載ってたどくろちゃん読んで思ったけど、1行だけでもすげー面白いんだよね・・・・・・どっからでも読めるし。
もっと煮詰めていかないと駄目だな、みたいな。
「オークガードにスローの魔法をかけるよ。効果30sec」
一条の光がスプリングのようにグルグルと回転しながら、オークガードを包み込む。
レジスト!
スローの魔法はオークガードにはじき返されてしまった。と同時に、こちらに反応し、向かってくる。
「げっ、レジられた」
まさかレジストされるとは・・・・・・このレベルだとスローの成功率95%くらいなはずなのに・・・・・・
「おろかなオークガードよ、滝に打たれて無我の境地に達するがよい!WaterFall(ウォーターフォール)!」
水の塊が空から降ってきて、オークガードに直撃する。みいは、魔法が命中するとすぐさま走って逃げだした。オークガードがターゲットをみいに変更したからだ。
「オークガードにスローの魔法をかけるよ。効果30sec」
その隙にもう一度スローを掛ける。今度は成功。オークガードの移動速度は半分にまで落ちた。効果は30秒持続する。
みいはオークガードの移動速度低下を見て、距離を十分に保ちながら攻撃魔法の詠唱を開始した。
「立ちこめる霧よ。迷える子羊よ。水の精霊ウンディーネの名の下、オークガードは今、迷子になります!AcidFog(アシッドフォグ)!」
オークガードの周囲に毒々しい色をした霧が立ちこめ、そのままオークガードは立ち止まってしまった。視界を遮られ、毒の霧に包まれたまま、オークガードは毒のダメージを受け続ける。
「ふう。これで後はほっとくだけね」
やれやれ、といった感じを漂わせながら、みいはその場に座り込んだ。このゲームでは座っている方がMP(マジックポイント)の回復が速い為、魔法型のキャラクターはたいてい座ったままなのだ。
俺もみいの横に座り込むと、
「意外となんとかなるもんだな。こういうのもたまにはいいかも。まあ、経験効率はアレだが・・・・・・」
みいはムッとした感じで、
「経験効率は悪いけど、ドロップはふたりで山分けじゃない。お金は貯まるわよ。それに、上手くやれば効率だって良くなるんだからっ」
「・・・・・・とはいえ、経験効率については考える余地はあるわね。AcidFogは楽に倒せるんだけど、毒の効果が弱いからどうしても時間がかかるのよね。ゲームバランス取ってるんでしょうけど。殲滅速度上げるならWaterFall連射のほうがいいかも」
「まあ、どっちにしろ水系統の魔法は攻撃力に欠けるものが多いのよね。成長していけば毒の威力が上がっていくから、後半強みを発揮するのだけど。その為には今からINT(インテリジェンス)を上げる装備を作っていかないといけない・・・・・・」
いつ終わるとも知れないみい先生の講義が、また始まった。本当にゲーム大好きなのね、みたいな。こうして俺はみいの長話を延々聞きながら、読みかけの週刊少年スマイルなど読むのであった。
「・・・・・・それよりさ、魔法を打つときのSay(セイ)マクロ、もうちょいかっこいいのにしないか? 雰囲気は出てると思うけどさ。まあ、どんなのにしようが個人の勝手だけど・・・・・・」
これリアルで言ったら殴られるな、と思いつつ、チャットだからいいやと思い入力。
これがみいの逆鱗に触れたらしく。
「あんた、明日覚えてなさいよ」
『中川深衣編』
タグ:オリジナル VR ひとりでラノベ
ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で
『中川深衣編』
1
中川深衣(なかがわみい)は魔法使いだった。
オンラインゲーム「アカシック年代記」における魔法使いには大別すると二種類ある。
主に攻撃魔法を主体として、モンスターにダメージを与えることを役割とした、ウィザード。
対して、回復魔法をメインとする、ヒーラー。
中川深衣の操る、キャラクター名「みぃ」は、前者のウィザードと呼ばれる職種を選択している。攻撃魔法の専門家である。
ちなみに、俺の職種は後者のヒーラーである。ヒーラーの中でも、回復魔法だけでなく付与魔法と状態変化魔法も操れる、いわゆるハイブリッド型のヒーラーである。回復魔法の威力はヒールに特化したタイプには及ばないものの、その分、敵の動きを封じたり、味方をパワーアップさせる、バフと呼ばれる付与魔法も使うことができる。
みぃ、は強い口調で言いはなった。
「あんたは黙ってついてくればいいのよっ!」
中川深衣は相変わらずわがままだった。小学生の時からそうだ。有無を言わせず、あちこちに連れ回す。呼びつけておいて、待たせる。アカシック年代記のワールド内でもその性格にまるで変化はなかった。
「そうはいっても、WIZとヒーラーでどうやって狩りするんだよ・・・・・・」
アカシック年代記では、6人ほどのパーティーを組んで狩りに行くのが普通である。前衛職と後衛職で役割分担して、バランスよくパーティーを組むものなのだ。がしかし、WIZもヒーラーも後衛職である。アカシック年代記においては、このふたりだけでモンスターを倒すことはかなり難しい。
「あんたがモンスターの動きを遅くして、わたしが攻撃魔法を撃つ。ダメージを受けたらあんたがヒールする。完璧じゃない。ほらっ、行くわよっ!あの城門にいるオークガード、あれにスローの魔法かけてきて。そしたら、あたしが魔法撃ち込むから」
言っていることは一見正しいが、どうなることやら。俺は建物の陰に隠れながら、オークガードの視界に入らないように注意して、スローの魔法をかけた。
「オークガードにスローの魔法をかけます。効果30sec」
一条の光がスプリングのようにグルグルと回転しながら、オークガードを包み込む。
レジスト!
スローの魔法はオークガードにはじき返されてしまった。と同時に、こちらに反応し、向かってくる。
「げっ、レジられた」
まさかレジストされるとは・・・・・・このレベルだとスローの成功率95%くらいなはずなのに・・・・・・
「おろかなオークガードよ、滝に打たれて頭を冷やしなさいっ!WaterFall!」
水の塊が空から降ってきて、オークガードに直撃する。みぃは、魔法が命中するとすぐさま走って逃げだした。オークガードがターゲットをみぃに変更したからだ。
「オークガードにスローの魔法をかけます。効果30sec」
その隙にもう一度スローを掛ける。今度は成功。オークガードの移動速度は半分にまで落ちた。効果は30秒持続する。
みぃはオークガードの移動速度低下を見て、距離を十分に保ちながら攻撃魔法の詠唱を開始した。
「水の精霊、ウンディーネよ。哀れなオークガードを霧の中に隠し給え。AcidFog!」
オークガードの周囲に毒々しい色をした霧が立ちこめ、そのままオークガードは立ち止まってしまった。視界を遮られ、毒の霧に包まれたまま、オークガードは毒のダメージを受け続ける。
「ふう。これで後はほっとくだけね。」
やれやれ、といった感じを漂わせながら、みぃはその場に座り込んだ。このゲームでは座っている方がMP(マジックポイント)の回復が速い為、魔法型のキャラクターはたいてい座ったままなのだ。
俺もみぃの横に座り込むと、
「意外となんとかなるもんだな。こういうのもたまにはいいかも。まあ、経験効率はアレだが・・・・・・」
みぃはムッとした感じで、
「経験効率は悪いけど、ドロップはふたりで山分けじゃない。お金は貯まるわよ。それに、上手くやれば効率だって良くなるんだからっ」
みぃの、負けず嫌いだけど、どこか柔和(にゅうわ)なところが子供の頃から好きだった。鼻っ柱の強いわりに、棘(とげ)がない。水の流れのように受け答えが軟(やわ)らかでありながら、筋が一本通っている。要するに頭がよいのだろう。この頭がよくてかわいらしい子が、なぜ俺などにまとわりついてくるのかは謎だった。幼なじみだからというのもあるだろうが、もっと別の感情があるように、日々感じていた。
ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で
『中川深衣編』
1
中川深衣(なかがわみい)は魔法使いだった。
オンラインゲーム「アカシック年代記」における魔法使いには大別すると二種類ある。
主に攻撃魔法を主体として、モンスターにダメージを与えることを役割とした、ウィザード。
対して、回復魔法をメインとする、ヒーラー。
中川深衣の操る、キャラクター名「みぃ」は、前者のウィザードと呼ばれる職種を選択している。攻撃魔法の専門家である。
ちなみに、俺の職種は後者のヒーラーである。ヒーラーの中でも、回復魔法だけでなく付与魔法と状態変化魔法も操れる、いわゆるハイブリッド型のヒーラーである。回復魔法の威力はヒールに特化したタイプには及ばないものの、その分、敵の動きを封じたり、味方をパワーアップさせる、バフと呼ばれる付与魔法も使うことができる。
みぃ、は強い口調で言いはなった。
「あんたは黙ってついてくればいいのよっ!」
中川深衣は相変わらずわがままだった。小学生の時からそうだ。有無を言わせず、あちこちに連れ回す。呼びつけておいて、待たせる。アカシック年代記のワールド内でもその性格にまるで変化はなかった。
「そうはいっても、WIZとヒーラーでどうやって狩りするんだよ・・・・・・」
アカシック年代記では、6人ほどのパーティーを組んで狩りに行くのが普通である。前衛職と後衛職で役割分担して、バランスよくパーティーを組むものなのだ。がしかし、WIZもヒーラーも後衛職である。アカシック年代記においては、このふたりだけでモンスターを倒すことはかなり難しい。
「あんたがモンスターの動きを遅くして、わたしが攻撃魔法を撃つ。ダメージを受けたらあんたがヒールする。完璧じゃない。ほらっ、行くわよっ!あの城門にいるオークガード、あれにスローの魔法かけてきて。そしたら、あたしが魔法撃ち込むから」
言っていることは一見正しいが、どうなることやら。俺は建物の陰に隠れながら、オークガードの視界に入らないように注意して、スローの魔法をかけた。
「オークガードにスローの魔法をかけます。効果30sec」
一条の光がスプリングのようにグルグルと回転しながら、オークガードを包み込む。
レジスト!
スローの魔法はオークガードにはじき返されてしまった。と同時に、こちらに反応し、向かってくる。
「げっ、レジられた」
まさかレジストされるとは・・・・・・このレベルだとスローの成功率95%くらいなはずなのに・・・・・・
「おろかなオークガードよ、滝に打たれて頭を冷やしなさいっ!WaterFall!」
水の塊が空から降ってきて、オークガードに直撃する。みぃは、魔法が命中するとすぐさま走って逃げだした。オークガードがターゲットをみぃに変更したからだ。
「オークガードにスローの魔法をかけます。効果30sec」
その隙にもう一度スローを掛ける。今度は成功。オークガードの移動速度は半分にまで落ちた。効果は30秒持続する。
みぃはオークガードの移動速度低下を見て、距離を十分に保ちながら攻撃魔法の詠唱を開始した。
「水の精霊、ウンディーネよ。哀れなオークガードを霧の中に隠し給え。AcidFog!」
オークガードの周囲に毒々しい色をした霧が立ちこめ、そのままオークガードは立ち止まってしまった。視界を遮られ、毒の霧に包まれたまま、オークガードは毒のダメージを受け続ける。
「ふう。これで後はほっとくだけね。」
やれやれ、といった感じを漂わせながら、みぃはその場に座り込んだ。このゲームでは座っている方がMP(マジックポイント)の回復が速い為、魔法型のキャラクターはたいてい座ったままなのだ。
俺もみぃの横に座り込むと、
「意外となんとかなるもんだな。こういうのもたまにはいいかも。まあ、経験効率はアレだが・・・・・・」
みぃはムッとした感じで、
「経験効率は悪いけど、ドロップはふたりで山分けじゃない。お金は貯まるわよ。それに、上手くやれば効率だって良くなるんだからっ」
みぃの、負けず嫌いだけど、どこか柔和(にゅうわ)なところが子供の頃から好きだった。鼻っ柱の強いわりに、棘(とげ)がない。水の流れのように受け答えが軟(やわ)らかでありながら、筋が一本通っている。要するに頭がよいのだろう。この頭がよくてかわいらしい子が、なぜ俺などにまとわりついてくるのかは謎だった。幼なじみだからというのもあるだろうが、もっと別の感情があるように、日々感じていた。
中川深衣について
タグ:VR オリジナル ひとりでラノベ
ということで、今日はmixiのマイミク増えたりしてテンション上がってきたので、イラストノベルのほうを実験的に書いてみました。昔買ったATOK2005も復活させて(ネトゲとあたっててまともに動かなかったので切ってた)、書いて見たのが以下。

↑中川深衣。
中川深衣について
1
中川深衣は魔法使いだった。
オンラインゲーム「アカシック年代記」における魔法使いには大別すると二種類ある。
主に攻撃魔法を主体として、モンスターにダメージを与えることを役割とした、ウィザード。
対して、回復魔法をメインとする、ヒーラー。
中川深衣の操る、キャラクター名「みぃ」は、前者のウィザードと呼ばれる職種を選択している。攻撃魔法の専門家である。
ちなみに、俺の職種は後者のヒーラーである。ヒーラーの中でも、回復魔法だけでなく付与魔法と状態変化魔法も操れる、いわゆるハイブリッド型のヒーラーである。回復魔法の威力はヒールに特化したタイプには及ばないものの、その分、敵の動きを封じたり、味方をパワーアップさせる、バフと呼ばれるいくつかの魔法も使うことができる。
2
みぃ、は強い口調で言いはなった。
「あんたは黙ってついてくればいいのよっ!」
中川深衣は相変わらずわがままだった。小学生の時からそうだ。有無を言わせず、あちこちに連れ回す。呼びつけておいて、待たせる。アカシック年代記のワールド内でもその性格にまるで変化はなかった。
「そうはいっても、WIZとヒーラーでどうやって狩りするんだよ・・・・・・」
アカシック年代記では、6人ほどのパーティーを組んで狩りに行くのが普通である。前衛職と後衛職で役割分担して、バランスよくパーティーを組むものなのだ。がしかし、WIZもヒーラーも後衛職である。アカシック年代記においては、このふたりだけでモンスターを倒すことはかなり難しい。
「あんたがモンスターの動きを遅くして、わたしが攻撃魔法を撃つ。ダメージを受けたらあんたがヒールする。完璧じゃない。ほらっ、行くわよっ!あの城門にいるオークガード、あれにスローの魔法かけてきて。そしたら、あたしが魔法撃ち込むから。」
言っていることは一見正しいが、どうなることやら。俺は建物の陰に隠れながら、オークガードの視界に入らないように注意して、スローの魔法をかけた。
ということで、今日はmixiのマイミク増えたりしてテンション上がってきたので、イラストノベルのほうを実験的に書いてみました。昔買ったATOK2005も復活させて(ネトゲとあたっててまともに動かなかったので切ってた)、書いて見たのが以下。

↑中川深衣。
中川深衣について
1
中川深衣は魔法使いだった。
オンラインゲーム「アカシック年代記」における魔法使いには大別すると二種類ある。
主に攻撃魔法を主体として、モンスターにダメージを与えることを役割とした、ウィザード。
対して、回復魔法をメインとする、ヒーラー。
中川深衣の操る、キャラクター名「みぃ」は、前者のウィザードと呼ばれる職種を選択している。攻撃魔法の専門家である。
ちなみに、俺の職種は後者のヒーラーである。ヒーラーの中でも、回復魔法だけでなく付与魔法と状態変化魔法も操れる、いわゆるハイブリッド型のヒーラーである。回復魔法の威力はヒールに特化したタイプには及ばないものの、その分、敵の動きを封じたり、味方をパワーアップさせる、バフと呼ばれるいくつかの魔法も使うことができる。
2
みぃ、は強い口調で言いはなった。
「あんたは黙ってついてくればいいのよっ!」
中川深衣は相変わらずわがままだった。小学生の時からそうだ。有無を言わせず、あちこちに連れ回す。呼びつけておいて、待たせる。アカシック年代記のワールド内でもその性格にまるで変化はなかった。
「そうはいっても、WIZとヒーラーでどうやって狩りするんだよ・・・・・・」
アカシック年代記では、6人ほどのパーティーを組んで狩りに行くのが普通である。前衛職と後衛職で役割分担して、バランスよくパーティーを組むものなのだ。がしかし、WIZもヒーラーも後衛職である。アカシック年代記においては、このふたりだけでモンスターを倒すことはかなり難しい。
「あんたがモンスターの動きを遅くして、わたしが攻撃魔法を撃つ。ダメージを受けたらあんたがヒールする。完璧じゃない。ほらっ、行くわよっ!あの城門にいるオークガード、あれにスローの魔法かけてきて。そしたら、あたしが魔法撃ち込むから。」
言っていることは一見正しいが、どうなることやら。俺は建物の陰に隠れながら、オークガードの視界に入らないように注意して、スローの魔法をかけた。
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