ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で 第1話 まとめ
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ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で
第1話 わたしを月につれてって
1
2001年、冬。東京都中野区も寒かった。
俺、筒中勇介(つつなかゆうすけ)は聖修大学付属高校2年生の17歳。大学付属高なので、エスカレーター式に大学へと行ける。成績も中の上だし、このまま波風立てずにおとなしくやっていけば、確実に付属大学へと行けるだろう。
そんな折、お隣に住む俺の幼なじみ、中川深衣(なかがわみい)が、「おもしろいネットゲーム見つけたからあんたも始めなさい」と勧誘してきた。誘うというよりも半分命令といった感じだろうか。まあ、俺もネットの申し子と言われた男なので、オンラインゲームのひとつもやった事がないというのはいかがなものかと思い、早速公式サイトからゲームをダウンロード、必要環境もOK、インストールして始めてみた。それが『アカシック年代記』との最初の出会いだった。
「キャラクターネームは・・・・・・勇(ゆう)でいいかな。種族はハーフエルフと。これでスタート」
勇(ゆう)という名前のハーフエルフで始めた事を携帯メールでみいに伝える。その間にゲームは読み込まれ、モニターには序々にアカシック年代記のワールドが露わになっていった。
・・・・・・衝撃だった。不安を掻き立てるようなBGMとともに、真っ暗な森にひとり、ポツーンと立っている。暗闇に覆われた森を照らす、まばゆいばかりの一本の樹・・・・・・見上げると巨大な樹の上に村が展開されていた。村から光が溢れ出し、かなりの人数が移動したり会話したりしている。樹上(じゅじょう)で展開されるこの光景を眺めながら、ただ呆然とするだけだった。
「おーい、聞こえる?」(ピンク色で表示)
ピンク色の文字がチャット欄を躍る。画面の下のほうにウィンドウが開いている。そこにチャットや攻撃などのログが表示されるようだ。
「これは遠距離でも通じる、TELL(テル)って言われてるチャットね。個人の間だけ聞こえるの。ピンク色で表示されているやつよ。周囲の人に聞こえるのはSAY(セイ)。SAYは白文字で表示されるから。入力は、TELLの後に名前を打ち込んで、その後半角スペース打ってから何か打ち込んでみて」
俺は言われるとおりに打ち込む。「おーい」おお、ピンク色の文字でチャットが出た。どうやら上手くいったらしい。続けて入力。「みい、どこ」
「いますぐそばまで来てるよ。そろそろ見えると思う」
本当に見えてきた。魔法使いが着るような真っ黒なローブと帽子を被った女キャラが。種族は人間っぽい。小柄で、髪型は前髪ぱっつんのロングヘアー、いわゆる姫カットだ。髪の色は彩度の高いオレンジ色をしていた。
「おまたせー」
「みい?・・・・・・なんか髪の毛凄い色なんですけど。どこの子ギャルかと・・・・・・」
「子ギャルで悪かったわね。オレンジ色かわいいじゃない。好きなの。明るくてサイコーでしょ」
「そうですね、とっても明るいと思いますです」
よく見たら、目も赤かった。髪の毛オレンジ色で目も赤いってどんだけー。まあ、こんなとこでみいをからかってもしょうがない。そんな俺のキャラの外見は、平均的な身長のハーフエルフで、黒髪のショートヘアー、やや耳が長い。鎧はまだ無く、ボロい布の服を着ている。といっても職業でクレリックを選択しているので、将来的には鎧よりもローブを着る機会のほうが多いだろう。
「なんかダガー1本しか持ってないんですけど」
「短剣1本で冒険に飛び出すなんて、まさにロマンじゃない。短剣だけに探検みたいな」
しょうもなー。なんでこうボケ合戦みたくなるのだろうか。ツッコミ役がいないからだろうか。こんな調子で誰もツッコミをいれない、というのが俺とみいの日常だった。
2
翌日、学校を出たところで中川深衣(なかがわみい)が待ちかまえていた。
「昨日はおもしろかったわね」
みいはクスクスと楽しげに笑った。
「勇介ってば、オーガに追いかけられてヒイヒイいってたし。30分くらいオーガを引きずり回してたわね。わたしもずっと魔法撃ってたけど、なかなか死なないわね。ほんとタフだったわー」
「ダガー1本しか持ってないクレリックに出来ることといったら、引くくらいしか・・・・・・」
「いや、見事なPULL(プル)だったわよ。浜辺まで誘導して、他の敵引っかけないようにグルグル上手く回ってたし。
nicepullって言ってあげる。ただ、火力がちょっと足りなかったわね」
みいとは幼なじみで、家も狭い私道を挟んで真向かいである。なんの因果か、俺の部屋の真向かいがみいの部屋だった。真向かいなので、カーテンが開いていれば丸見えである。作り話のような話であるが、事実である。幼なじみの部屋が真向かいに!なんてファンタジーは、この広い世界では意外にもよくある事だったりするのだ。といってもカーテンが開いたままなんてミスをみいが犯すわけもないのだが。常に閉じたままの開かずのカーテンである。俺はこれを鉄のカーテンと命名している。
子供のころからとにかく鼻っ柱が強いみいに、俺は振り回されっぱなしだった。荷物持ちやらパシリやらは当たり前。言うことを聞かなければすぐ癇癪(かんしゃく)を起こす。報復として俺の部屋から非常にプライベートな書物を持ち出し、女子専用の化粧室でさらしものにする、なんていう事もしょっちゅうであった。俺の部屋に無断でみいを上げるうちの親にも問題があるが。学校から戻る前に先回りして、勉強会などと称して部屋に上がり込んでいるのだから、幼なじみとは恐ろしい。
このような事がたびたび起きていたので、同級生の女子からは「ヘンタイ君」などという不名誉なあだ名まで付けられていた。見た目はそんな悪くないと思ってるのに!みいのイメージ戦略には脱帽である。
「昨日は結構レベルあがったわね。勇介はヒールも覚えたし」
「うんうん、レベル10になってやっとヒールの魔法使えるようになったよ。ようやくクレリックらしくなってきた」
雑談に花を咲かせながら、コミュニティバスのバス停へと向かう。このバスは中野区を縦断する路線で、周辺の住人にとっては非常に便利なバスである。俺とみいはこのバスで通学していた。通学時間はわずか10分である。
「今日も帰ったらさっそく冒険の旅に出ますか」
バス停まで辿りついたところで、みいニヤニヤしながら言った。
「今日は月まで付き合ってもらうわよ」

3
「月っすか。夜空に輝くお月様っすか」
「アカシック年代記にも月はあるのよ。バンブーシリンダーっていうアイテム使うと行けるの。首都クーフーリンのお店で、800ギルダーだったかな」
「800ギルダーかあ。昨日の狩りで出たラウンドシールドを売れば1000ギルダーくらいになるから、なんとかなるかも」
「まあ、足りなかったらわたしが出したげるけどね。今日は月に一度のフルムーンだから、モンスターがたくさん湧くし、ボスキャラも出るのよ。これは行くしかないでしょ」
帰宅すると、早速PCの電源をONにする。ブーン、とファンの回転音が唸るように響く。WINDOWSが起動すると、この部品を寄せ集めたただの箱に命が吹き込まれるような感じがする。中学1年の頃からPCを始めたけれど、もはやPCが体の一部であるかのように感じていた。このただの箱を通して、世界と、人と、繋がっているような感覚。この箱の向こう側に、確かに誰かがいた。
メッセを見ると、みいはすでにオンラインだった。同じくらいに家に入ったはずなのに、相変わらず速いな・・・・・・
おとなりの中川家は200坪くらいありそうな豪邸である。中野区で200坪といったら、ウン億円の世界である。なのだが、この広大な家にみいはたったひとりで生活している。
2年ほど前、みいの両親は旅先から帰らぬ人となった。悲惨な列車事故だった。ただひとり、取り残されるという現実。どうやって生活していくのか。遺産はどうするのか。まだ15歳だったみいは、ただ泣きじゃくっていた。広くて立派な家だけれど、肝心なものが欠けてしまった。
お隣の中川家とうちは交流が深く、うちの親も俺も葬儀には参列したのだけれど、その時のみいはあまりにもいたたまれなかった。この後、みいはたったひとりでこの家で生活していくことを選択する。その頃から俺とみいとの絆は切っても切れないような、そんな関係となったように感じる。
「おー、まさに月面だ」
バンブーシリンダーは、1回だけ使える乗り物である。巨大な竹筒の中に入ると、月までカッ飛んでいくのだ。移動と同じなので、飛行中の景色もよく見える。みいが乗ったバンブーシリンダーがすぐそばを飛行しているのも見えた。
「こちら、みい。視界良好なり。地球はやっぱり青かった」
「ガガーリンすか」
「地球が遠ざかっていくよー。知ってる?お月様って月の精霊がたくさん集まってできてるのよ。だから光ってるの」
「月の精霊の量で満ち欠けが決まるんだっけ」
「よく知ってるじゃない。今日は月に一度の精霊会議の日だから満月なのよ。月の精霊がたくさん集まってるわ」
アカシック年代記の世界観の話である。火・水・風・土の4大元素の他にも月・日・闇・冥・聖などの元素があり、その力によって地形や天候、モンスターのPOP数、魔法の威力、などが変わるのである。月の満ち欠けも精霊の数によって決まってくるのだ。
アカシック年代記における世界観は、この精霊の概念に基づいている。ワールドには精霊の支配地域があり、その地域を支配している精霊の力が色濃く反映される。火の精霊が支配している地域であれば火の精霊の力が強まり、サラマンダーなどがPOPするし、水の精霊が支配する地域であれば水生モンスターが力を発揮する。
満月は月の精霊が大量に集まっている事を意味する。精霊が大量に集まっているということは、同時にPOP数が大幅に増えるということを意味するのである。月であれば月の精霊であるムーンラビットが大量に湧くし、モンスターの中でも上位に位置するボスモンスターも出現するのである。
この、精霊がたくさん集まってボスモンスターもPOPする日のことを、精霊会議の日と呼んでいるのである。精霊会議の日は精霊ごとにずれていて、日は1日、冥は4日、土は5日、闇は8日、火は10日、月は15日、風は20日、聖は25日、水は30日、となっている。
・・・・・・続きは同人誌で!
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ヴァーチャルとリアルが交錯するこの世界で
第1話 わたしを月につれてって
1
2001年、冬。東京都中野区も寒かった。
俺、筒中勇介(つつなかゆうすけ)は聖修大学付属高校2年生の17歳。大学付属高なので、エスカレーター式に大学へと行ける。成績も中の上だし、このまま波風立てずにおとなしくやっていけば、確実に付属大学へと行けるだろう。
そんな折、お隣に住む俺の幼なじみ、中川深衣(なかがわみい)が、「おもしろいネットゲーム見つけたからあんたも始めなさい」と勧誘してきた。誘うというよりも半分命令といった感じだろうか。まあ、俺もネットの申し子と言われた男なので、オンラインゲームのひとつもやった事がないというのはいかがなものかと思い、早速公式サイトからゲームをダウンロード、必要環境もOK、インストールして始めてみた。それが『アカシック年代記』との最初の出会いだった。
「キャラクターネームは・・・・・・勇(ゆう)でいいかな。種族はハーフエルフと。これでスタート」
勇(ゆう)という名前のハーフエルフで始めた事を携帯メールでみいに伝える。その間にゲームは読み込まれ、モニターには序々にアカシック年代記のワールドが露わになっていった。
・・・・・・衝撃だった。不安を掻き立てるようなBGMとともに、真っ暗な森にひとり、ポツーンと立っている。暗闇に覆われた森を照らす、まばゆいばかりの一本の樹・・・・・・見上げると巨大な樹の上に村が展開されていた。村から光が溢れ出し、かなりの人数が移動したり会話したりしている。樹上(じゅじょう)で展開されるこの光景を眺めながら、ただ呆然とするだけだった。
「おーい、聞こえる?」(ピンク色で表示)
ピンク色の文字がチャット欄を躍る。画面の下のほうにウィンドウが開いている。そこにチャットや攻撃などのログが表示されるようだ。
「これは遠距離でも通じる、TELL(テル)って言われてるチャットね。個人の間だけ聞こえるの。ピンク色で表示されているやつよ。周囲の人に聞こえるのはSAY(セイ)。SAYは白文字で表示されるから。入力は、TELLの後に名前を打ち込んで、その後半角スペース打ってから何か打ち込んでみて」
俺は言われるとおりに打ち込む。「おーい」おお、ピンク色の文字でチャットが出た。どうやら上手くいったらしい。続けて入力。「みい、どこ」
「いますぐそばまで来てるよ。そろそろ見えると思う」
本当に見えてきた。魔法使いが着るような真っ黒なローブと帽子を被った女キャラが。種族は人間っぽい。小柄で、髪型は前髪ぱっつんのロングヘアー、いわゆる姫カットだ。髪の色は彩度の高いオレンジ色をしていた。
「おまたせー」
「みい?・・・・・・なんか髪の毛凄い色なんですけど。どこの子ギャルかと・・・・・・」
「子ギャルで悪かったわね。オレンジ色かわいいじゃない。好きなの。明るくてサイコーでしょ」
「そうですね、とっても明るいと思いますです」
よく見たら、目も赤かった。髪の毛オレンジ色で目も赤いってどんだけー。まあ、こんなとこでみいをからかってもしょうがない。そんな俺のキャラの外見は、平均的な身長のハーフエルフで、黒髪のショートヘアー、やや耳が長い。鎧はまだ無く、ボロい布の服を着ている。といっても職業でクレリックを選択しているので、将来的には鎧よりもローブを着る機会のほうが多いだろう。
「なんかダガー1本しか持ってないんですけど」
「短剣1本で冒険に飛び出すなんて、まさにロマンじゃない。短剣だけに探検みたいな」
しょうもなー。なんでこうボケ合戦みたくなるのだろうか。ツッコミ役がいないからだろうか。こんな調子で誰もツッコミをいれない、というのが俺とみいの日常だった。
2
翌日、学校を出たところで中川深衣(なかがわみい)が待ちかまえていた。
「昨日はおもしろかったわね」
みいはクスクスと楽しげに笑った。
「勇介ってば、オーガに追いかけられてヒイヒイいってたし。30分くらいオーガを引きずり回してたわね。わたしもずっと魔法撃ってたけど、なかなか死なないわね。ほんとタフだったわー」
「ダガー1本しか持ってないクレリックに出来ることといったら、引くくらいしか・・・・・・」
「いや、見事なPULL(プル)だったわよ。浜辺まで誘導して、他の敵引っかけないようにグルグル上手く回ってたし。
nicepullって言ってあげる。ただ、火力がちょっと足りなかったわね」
みいとは幼なじみで、家も狭い私道を挟んで真向かいである。なんの因果か、俺の部屋の真向かいがみいの部屋だった。真向かいなので、カーテンが開いていれば丸見えである。作り話のような話であるが、事実である。幼なじみの部屋が真向かいに!なんてファンタジーは、この広い世界では意外にもよくある事だったりするのだ。といってもカーテンが開いたままなんてミスをみいが犯すわけもないのだが。常に閉じたままの開かずのカーテンである。俺はこれを鉄のカーテンと命名している。
子供のころからとにかく鼻っ柱が強いみいに、俺は振り回されっぱなしだった。荷物持ちやらパシリやらは当たり前。言うことを聞かなければすぐ癇癪(かんしゃく)を起こす。報復として俺の部屋から非常にプライベートな書物を持ち出し、女子専用の化粧室でさらしものにする、なんていう事もしょっちゅうであった。俺の部屋に無断でみいを上げるうちの親にも問題があるが。学校から戻る前に先回りして、勉強会などと称して部屋に上がり込んでいるのだから、幼なじみとは恐ろしい。
このような事がたびたび起きていたので、同級生の女子からは「ヘンタイ君」などという不名誉なあだ名まで付けられていた。見た目はそんな悪くないと思ってるのに!みいのイメージ戦略には脱帽である。
「昨日は結構レベルあがったわね。勇介はヒールも覚えたし」
「うんうん、レベル10になってやっとヒールの魔法使えるようになったよ。ようやくクレリックらしくなってきた」
雑談に花を咲かせながら、コミュニティバスのバス停へと向かう。このバスは中野区を縦断する路線で、周辺の住人にとっては非常に便利なバスである。俺とみいはこのバスで通学していた。通学時間はわずか10分である。
「今日も帰ったらさっそく冒険の旅に出ますか」
バス停まで辿りついたところで、みいニヤニヤしながら言った。
「今日は月まで付き合ってもらうわよ」

3
「月っすか。夜空に輝くお月様っすか」
「アカシック年代記にも月はあるのよ。バンブーシリンダーっていうアイテム使うと行けるの。首都クーフーリンのお店で、800ギルダーだったかな」
「800ギルダーかあ。昨日の狩りで出たラウンドシールドを売れば1000ギルダーくらいになるから、なんとかなるかも」
「まあ、足りなかったらわたしが出したげるけどね。今日は月に一度のフルムーンだから、モンスターがたくさん湧くし、ボスキャラも出るのよ。これは行くしかないでしょ」
帰宅すると、早速PCの電源をONにする。ブーン、とファンの回転音が唸るように響く。WINDOWSが起動すると、この部品を寄せ集めたただの箱に命が吹き込まれるような感じがする。中学1年の頃からPCを始めたけれど、もはやPCが体の一部であるかのように感じていた。このただの箱を通して、世界と、人と、繋がっているような感覚。この箱の向こう側に、確かに誰かがいた。
メッセを見ると、みいはすでにオンラインだった。同じくらいに家に入ったはずなのに、相変わらず速いな・・・・・・
おとなりの中川家は200坪くらいありそうな豪邸である。中野区で200坪といったら、ウン億円の世界である。なのだが、この広大な家にみいはたったひとりで生活している。
2年ほど前、みいの両親は旅先から帰らぬ人となった。悲惨な列車事故だった。ただひとり、取り残されるという現実。どうやって生活していくのか。遺産はどうするのか。まだ15歳だったみいは、ただ泣きじゃくっていた。広くて立派な家だけれど、肝心なものが欠けてしまった。
お隣の中川家とうちは交流が深く、うちの親も俺も葬儀には参列したのだけれど、その時のみいはあまりにもいたたまれなかった。この後、みいはたったひとりでこの家で生活していくことを選択する。その頃から俺とみいとの絆は切っても切れないような、そんな関係となったように感じる。
「おー、まさに月面だ」
バンブーシリンダーは、1回だけ使える乗り物である。巨大な竹筒の中に入ると、月までカッ飛んでいくのだ。移動と同じなので、飛行中の景色もよく見える。みいが乗ったバンブーシリンダーがすぐそばを飛行しているのも見えた。
「こちら、みい。視界良好なり。地球はやっぱり青かった」
「ガガーリンすか」
「地球が遠ざかっていくよー。知ってる?お月様って月の精霊がたくさん集まってできてるのよ。だから光ってるの」
「月の精霊の量で満ち欠けが決まるんだっけ」
「よく知ってるじゃない。今日は月に一度の精霊会議の日だから満月なのよ。月の精霊がたくさん集まってるわ」
アカシック年代記の世界観の話である。火・水・風・土の4大元素の他にも月・日・闇・冥・聖などの元素があり、その力によって地形や天候、モンスターのPOP数、魔法の威力、などが変わるのである。月の満ち欠けも精霊の数によって決まってくるのだ。
アカシック年代記における世界観は、この精霊の概念に基づいている。ワールドには精霊の支配地域があり、その地域を支配している精霊の力が色濃く反映される。火の精霊が支配している地域であれば火の精霊の力が強まり、サラマンダーなどがPOPするし、水の精霊が支配する地域であれば水生モンスターが力を発揮する。
満月は月の精霊が大量に集まっている事を意味する。精霊が大量に集まっているということは、同時にPOP数が大幅に増えるということを意味するのである。月であれば月の精霊であるムーンラビットが大量に湧くし、モンスターの中でも上位に位置するボスモンスターも出現するのである。
この、精霊がたくさん集まってボスモンスターもPOPする日のことを、精霊会議の日と呼んでいるのである。精霊会議の日は精霊ごとにずれていて、日は1日、冥は4日、土は5日、闇は8日、火は10日、月は15日、風は20日、聖は25日、水は30日、となっている。
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